先日、1歳3ヶ月の息子が熱性けいれんを起こしました。さいわい妻が熱性けいれんのことを知っていたので冷静に対処できましたが、何も知識がなかったらパニックになっていたかもしれません。
この手のトラブルは前触れもなく突然やってきます。赤ちゃんにはこういったことが起こりうることを知っておくだけでも、万が一の時はきっと役に立つはず。
熱性けいれんについて知らなかった人はぜひご一読ください。
熱性けいれんってなに?
熱性けいれんとは生後半年から6歳くらいまでの子供が、発熱時にけいれんや意識障害を起こす症状です。
通常38℃以上で起こることが多く、多くの場合5分以内にその症状はおさまるのだそう。日本では赤ちゃんのおよそ8%が熱性けいれんを起こすといわれています。
しかし熱性けいれん自体が命に関わる可能性は低く、後遺症が残ることもありません。
思い出してもゾッとする。顔から表情が消えぐったりした我が子の姿
ソレはいきなりやって来た
そのとき私は赤ちゃんと一緒にお風呂に入り、太ももの上に仰向けに寝かせた状態で彼の髪を洗っていました。
洗髪はあまり好きではないらしくほぼ毎回泣いて嫌がります。その時もいつも通り泣いていましたが、なだめながらなんとか髪を洗い終わりました。
さて次は体を洗わなきゃ。いつものルーティーンでバスタブの縁をつかませ立たせますが、赤ちゃんはあごを上げて上ばかり見ています。今思えば恐らくこの時すでに意識が朦朧として頭を支えるのがやっとの状態だったのでしょう。
上ばかり気にしてることに不自然さを覚えつつも、バスタブの縁はしっかり掴んできちんと立っていることから、天井周辺に何か気になるものでもあるのだろうと思いながら体を洗いきりました。
かかった時間は恐らく3分くらいですが、その間も黙ったままずっと上ばかり見ていた赤ちゃん。ここで一気に怖くなりました。ヤバいかも、これ。
再び太ももの上に抱き上げます。顔色がうっすら青いうえ呼びかけへの反応も無し。目を開けているにも関わらず私と視線が合わない。泣くわけでも苦しそうな表情をするわけでもなく、ただただ顔に表情がない。
この時点でようやく「ヤバいかも、これ」から「マジでヤバい」に変わりました。
熱性けいれんの症状はいろいろある
けいれんというと全身をビクビクと震わせるイメージですが、体を強くこわばらせる場合や逆に力が入らず手足がダランとなる場合など色々な症状があります。
またけいれんが起きる部位も全身に渡ることもあれば手足のみがけいれんするなど様々。ただ目の焦点が合わない・顔色が悪くなるという症状はほとんどの場合で見られるようです。
急いでお風呂から出て妻を呼び、脱衣所にタオルを敷き赤ちゃんを寝かせます。心臓に手を当ててみると鼓動がやたら早い。そしてぐったりした赤ちゃんの様子を見た妻が「これ、熱性けいれんかも」とつぶやきました。そして「抱き上げずこのまま寝かせて安静に」とも。
そしてお風呂から出て1分くらいでしょうか、急に顔色が元に戻り視線が定まります。あ、意識が戻った。いままでそういった経験はありませんでしたが人が意識を取り戻す瞬間というのは、まるでパチンとスイッチが入ったかのように切り替わるものなのですね。
実はあった、熱性けいれんへの伏線
その日、赤ちゃんは昼頃から熱っぽく夕方の時点で熱が37度ありました。機嫌の悪い時間が普段より多いものの、食欲はあるし笑顔も見せる。
外出こそ控えましたが、いつも通りの生活をおくっていました。だからついいつも通りお風呂に入れてしまったのですが、これが熱性けいれんの引き金になった可能性も。
前述の通り、熱性けいれんは急な発熱に脳が対応しきれずに起こしてしまうけいれん。発熱+お風呂に入ることによる体温の上昇、または体力の消耗が重なり、熱性けいれんを起こしてしまったのかもしれません。
実際あとから調べてみたところ、赤ちゃんが38℃以上の熱を出した場合は入浴を推奨しないというお医者さんもチラホラいらっしゃいました。
赤ちゃんが熱性けいれんを起こしたら
慌てず騒がず、赤ちゃんの衣服をゆるめて体全体を横向きに横たえます。そして頭を少し後ろに反らせて気道を確保。
この状態にしたうえで症状を観察しましょう。体のどこがどういったふうにけいれんしているか、それがどのくらい続いたか、目線はどこを向いていたか、手足は左右同じ症状か。これらは後から病院を受診する際にあった方が良い情報です。
またけいれんしていた時間は、時計を見てできるだけ正確に測りましょう。これは「けいれんが続いている間の時間は、実際よりも長く感じてしまう」親心対策として。もしも5分以上けいれんが続くようであれば、すぐに救急車を呼んでください。
けいれんが止まり意識が戻っても、それが赤ちゃんにとって生まれて初めてのけいれんだった場合は、夜間や休日だったとしても病院を受診しましょう。これはけいれんの原因が熱性けいれんとは限らないからです。
熱性けいれんに限らず、赤ちゃんの病気で判断に迷ったら#8000
けいれんがおさまり意識が戻った我が子を見てホッとしたのもつかの間、(その時は上記の知識が無かったので)病院に連れて行くべきかどうかで判断に迷いました。とりあえず#8000に電話して相談することに。
#8000とは「こども医療電話相談」
#8000とは、厚生労働省が実施するこども医療電話相談の受付電話番号のこと。全国で対応しており、電話をすると担当の小児科医や看護師さんから直接アドバイスを受けることができます。
私が電話をした際は、年配とおぼしき女性が対応してくださいました。まずは赤ちゃんの年齢・性別・住所、そして症状を具体的に知らせます。今回は生まれて初めてのけいれんなので、いまから病院を受診してくださいと指示されました。
ちなみに#8000に電話をすると住んでいる地域の相談窓口に転送されるので、症状や住所なども加味したうえで訪れるべき病院も具体的に教えてもらえます。
熱性けいれんを起こした際の病院での処置について
病院では熱と心拍数を測ったうえで、お医者さんの診察を受けました。症状などを伝えるとやはり「熱性けいれんでしょう」とのこと。けいれんを予防する座薬を入れて、念のため血液検査もしてみることなりました。
血液検査の結果も異常なし。採血の際はさすがに大号泣した息子も、病院を後にする頃にはなんだか機嫌も良くなっていました。問題がなかったことにホッと胸をなで下ろしながら自宅へと戻りました。
油断は禁物!1/3が繰り返す熱性けいれん
先にも述べたように日本で熱性けいれんを起こすのは子供全体のおよそ8%で、そのうち1/3が熱性けいれんを何度か繰り返すのだそう。
となるとうちの子供も熱性けいれんを繰り返す可能性があり、発熱時などはそういった面でも注意を払っておく必要があります。
ただし熱性けいれんを繰り返したとしてもほとんどの場合が6歳前後までで、繰り返したからといって後遺症が残ることもありません。しかしまれ(3〜5%ほど)に、熱性けいれんからてんかんに移行するケースもあるそうです。
最後におさらい。赤ちゃんが熱性けいれんを起こしたら
熱性けいれんの対処法
- 時刻を確認する。
- けいれんで周囲のものにぶつかってしまわないよう、できるだけ近くて広いスペースに赤ちゃんを寝かせる。
- 呼吸がしやすいように赤ちゃんの衣服をゆるめて締め付けを無くす。特に首周り。
- 吐いた時に窒息しないよう体全体を横向きにする。
- 頭を少し後ろに反らせて気道を確保する。
- けいれんが止まるまで経過観察
- 目の様子 (1点を見つめる・白目をむいている・右に寄っている・左によっている)
- 手足の様子 (だらんとしている・力を入れて突っ張っている・ガクガク動かしている / それらが左右対称に起こっているか、非対称か)
- 肌の色 (青紫色・青白い・ふつう)
- けいれんが止まったら時刻を確認。5分以上続く場合は救急車を呼ぶ。
- 初めてけいれんを起こした場合は病院で受診する。
特に注意して観察しておくべき箇所
とにかく慌てず冷静に
我が子の目がうつろで反応もなく、場合によってはけいれんしている。「もしかして死んじゃうかも」と思ってしまうくらい(実際そう思いました)親としてはインパクトのある光景ですが、実際は命に関わるケースはほとんどありません。
大切なのはとにかく慌てず冷静に行動すること。こういうこともあるとあらかじめイメージしておくことで、いざという時に役立つのではないでしょうか。熱性けいれんは12人に1人(およそ8%)の赤ちゃんがなる、とても身近な病気。あなたのお子さんがそうならないという保証はどこにもありません。